昨年秋からWebライティングやキャッチコピーに関する新しい本をたくさん読んできましたが飽きてきたので、ちょっと前に流行った本を読んでいます。
最近のおすすめを2冊紹介します。
2001年に出版された本が再評価されているので読んでみました。
やっぱり糸井さんってスゴイ人だなあ…
内容は良いし、参考になることばかりですが、私がスゴイと思ったのは、文章の表現方法。超一流コピーライターなので当たり前なんですが。
インターネットやビジネスに関する難しい言葉をわかりやすく、比喩をつかって語るように書いています。
ふだんは本に直接ラインを引かず、付箋をつけていくのですが、この本には蛍光ペンを引きまくりました。
そのいくつかを引用しますね。
ーアイデアこそが価値の中心 より
ぼくが自分が関わっているアイデアやクリエイティブといわれる仕事を目標設定型の事業にしてしまうとしたら、かなりまずいことになるだろうなあ、と思いました。確実に仕事を得るためだけに農薬をまきまくっていると、もともとの土地が、ほんとうにだめになってしまいそうな予感がしました。
クリエイティブにとっては、定置的な農作業でなく原野を拓いていくような開拓のほうがいいのだと思います。管理できる労働で時間を埋め尽くすよりも、ふらふらした状態を楽しむのが、一番、生き生きするし、効率だってよさそうです。ービンボーでスタートするゲーム より
とにかく、ビンボーでスタートするというのをゲーム化しよう、と。
〜(中略)〜お金は武器ですから、それを支払ったら、考えが交流しなくても済んでしまうんですね。何でこんなことがやりたいんだ、という動機が見えてこない。何かを頼むときには、お金以上の価値を相手に感じてもらえなければ、行き詰まってしまうわけですから、いつも真剣にならざるをえない。
この仕組みは、『ほぼ日』を強くしたと思います。ー情報エンターテインメントという「時間食い」の商品 より
もう、根本的に「時間」をたっぷり生み出してくれる発明などないのではないかと思えます。普通に仕事をしていたら、どうやったって、時間が余るなんてことは、ありそうにもありません。「ヒマな人」になるという方法しか、時間をたっぷりつくれる方法はないのだと思います。ーおやじギャグのマナー より
どうも人の心というのは、きれいにまとまったものよりも、まとまりきれない何かに震えるのではないでしょうか。
「ほぼ日刊イトイ新聞」がスタートしたのは1998年。これだけ長い間継続してコンテンツを生み出しつづけ、商品企画・販売も成功している事例ってないんじゃないでしょうか?激しく変化するネットの波の中をすいすい泳いでいるように見えますが、つねに人や社会の変化を感じとりながら、時代の先を読んで少しずつ舵をきっているように思えます。
3月16日に、糸井さんの会社が上場したようですが、これからどういう方向に進むのか気になります。
糸井重里社長「上場後の楽しみは優待と総会」(東洋経済オンライン)
http://toyokeizai.net/articles/-/163006
人に伝えるための文章表現としても参考になるし、ネットと関係のない業界ってもうないので、どんな職種の人にもインターネットがそもそも何なのかを知るために是非読んでほしい一冊です。
もう一つ、文章だけでなく、話し方の表現を学ぶうえでおすすめは、
スティーブ・ジョブズのプレゼン方法のエッセンスを紹介したもの。
ずいぶん売れたようですが、まだ読んでなかったので今さらながら読んでみました。
商品発表会でジョブズの発する言葉や、Keynote(AppleのPowerPoint版のようなアプリ)に入れる短くてシンプルな表現は、自分自身も仕事で取り入れたいポイントがたくさんありました。
ーMacbook Air発表会でのジョブズの言葉
「これがマックブック・エアだ。触ってみるととっても薄いことがわかる(具体的)。でもキーボードもディスプレイも普通に大きいんだ(シンプル)。すごいだろう?(感情的)見た目はこんな感じだ。すばらしいよね?(感情的) 世界で最も薄いノートパソコンだ(シンプル)。ディスプレイはゴージャな13.3インチワイドスクリーンだし。キーボードはなんとフルサイズだ(感情的かつ具体的)。ここまでやってくれるとは、ウチのエンジニアリングチームには驚かされたよ(感情的)」
人に伝えるための極意が、この発言に凝縮されているような気がします。
Webライティングを学ぶうえで、売れる◯◯の法則…のような、売上アップやすぐに出る成果を目的にしたノウハウ本も勉強になりますが、紹介した2冊のような、人に伝えるための表現ってこうするんだよ、というお手本になる人を見つけて真似することも大事なんじゃないかと思っています。
初心者におすすめするWebライティングの本はこちらの記事をご覧ください。
【おすすめ本】Webライティング初心者にお役立ち5冊
http://blog.sandwich-projects.com/webwriting_books_201612/