自分らしさやセルフプロデュースとか、自分アピールのビジネス書が多いですが、それとは反対の視点でとらえた仕事本を紹介します。
アニメプロデューサーの著者が、スタジオジブリ時代にプロデューサーの鈴木敏夫さんから、みっちり叩き込まれた鈴木さんの仕事のやり方。
「自分を捨てろ」「意見は他人の真似でいい」、自分を捨てて他人の真似をする仕事術。
鈴木さんや、優れたクリエイターと共に仕事をしてきたこの20年弱、天才と呼ばれる人が共通して持っていたのは、「自分を捨て、だれかのために仕事をする」というあり方でした。
この本で伝えたいことは、ひとつです。自分なんてどこにもいない。
自分のなかには何もない。
何かあるとしたら、それは外、つまり他人のなかである。ーはじめにより
仕事を始めたばかりの若い人やクリエイターにとても身になる内容です。
30〜40代の人には自分自身の仕事の考え方の再定義に、若い世代への指導にも参考になりそうです。
私も前職時代は、社長が何を考えているのか、お客さんとどんなやり取りをしているか、先のことをどう見ているのか…よく観察していたものです。
いまフリーランスになっても役立っているし、個性や能力をの違いを理解した上で、
これは真似る、これはアレンジして変えてみる、いろいろと応用しています。
自分らしさやこだわりも大事ですが、未熟な若いときは自己流より、お手本を見つけて真似る(学ぶ)ことが、実現したい仕事への近道になるのだと、著者の石井さんと同じように感じます。
過剰に自己主張する、個性を際立たせてるやり方も増えていますが、私には不向き、不得意分野。
この本を読んで、有名なトップクリエイターも地道な努力の積み重ねや、人のために仕事をしていくことで多くの人に喜ばれる作品や仕事を生み出しているーー
仕事の大小に関わらず、今までの自分のやり方が間違っていないよね?と少し勇気をもらいました。
自分にこだわりすぎると、泥沼にはまる…迷走してしまう…
そういう状況の人にはぜひ読んでほしい一冊です。
著者の石井さんも素晴らしいですが、この本を企画した編集者もうまいなあと思ってしまいました。
仕事術ではないですが、ジブリ関連でもう一つ、とても面白かった本。
クリエイターや企画・編集の人に超おすすめです。