常日頃、なんだかな〜とモヤモヤしていることの一つ。
Web(←今はこっちがメイン)と紙媒体、両方の仕事を長くしてきて感じるのは、Webが軽んじられていたり、同じ広告には変わりないのに、別次元のものと思われ敬遠されること。予算はもちろん、制作時間、優先順位もWebの地位が相対的に低いケースが多いのです。「Web=無料、素人でもできる」というイメージもあるので仕方ないのですが。
小霜さん(著者)は、コピーライター・クリエイティブディレクター。私とは全く違うスケールの仕事をされていますが、読んでみて、大手企業のWeb動画とテレビCMの間にも深い谷があるんだなと。規模関係なしに、戦略やマーケティング、制作の現場に、マスもWebもひっくるめて繋げて考えられる人材は不足しているようです。
この本で、小霜さんは、Web動画とは言わず、「WebCM」と読んでいます。低予算で制作するのではなく、Webで効果が出るように最適化して、確実に成果を出すやり方を一般化させるために「動画」という言葉はそぐわないと。
WebCMをブランディングの一つとして捉えたり、WebCM制作のノウハウや運用について、広告制作に携わっている人にとって知っておきたい、重要なことがたくさん書かれています。
2017年現在のノウハウは書いていますが、このノウハウも来年、再来年はどうなっているかわかりません。この本の最終章のタイトルは「広告業界人はみんな新人」。私も自分のことを「永遠の新人」だと思っています。常に新しいコト、技術にアンテナを張り巡らし、トライを繰り返す。でもどんなにAIなどの先端技術が進化しようが、真ん中にあるのは「人の気持ち、行動」。それにプラスして、もっと成果を出すもの、信頼できるものを提案していくことが自分自身の課題だと感じました。
あまり本の内容は書けませんでしたが、Webは苦手という広告代理店の営業やプランナー、コピーライターの方にぜひ読んでほしい一冊です。若い人というよりは私と同年代の中堅〜ベテランの人に読んでほしい。小霜さんの他の著書も面白いのでオススメです。
※2017年8月現在、「急いでデジタルクリエイティブ〜」「ここらで広告コピー〜」はkindle unlimited(会員読み放題対象)になっています。